こんにちは。難波矯正歯科です。
いつも当院のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
歯列矯正中にもお悩みやトラブルが生じることはありますが、
「矯正を始めたら知覚過敏になった」
「思い切って矯正してみたけど、何だか歯がしみてきて心配」
という話を耳にしたことはありませんか?
歯がしみると「もしかして虫歯ができたのでは…」と不安になってしまいますよね。
虫歯がなくてもしみる症状がある場合、それは知覚過敏かもしれません。
結論からお伝えすると、矯正治療をすることにより、しみる症状を感じる方は少なくないようです。
今回は歯科矯正をすることで知覚過敏になりやすい理由や、その仕組みなどについてお話していきます。
知覚過敏とは?
冷たいものや冷たい風が当たった時、歯磨きした時に「キーン」としたしみる症状を感じます。
しかし症状は一時的で、しばらくするとおさまるのが知覚過敏の特徴です。
歯の外側は『エナメル質』という硬いもので覆われていて、外からの刺激を遮断する役目をしてくれています。
ところが何らかの原因でこのエナメル質が削れてしまい、外からの刺激を遮断できなくなると、しみる症状が現れるようになってしまうのです。
また、歯ぐきが退縮して歯の根本の部分が露出した際にも同じ症状が現れます。
知覚過敏で歯がしみるのはなぜ?
知覚過敏で歯がしみる理由を知る前に、まずは歯の構造を知っておきましょう。
歯の構造を知っていると歯がしみる理由も理解しやすくなりますので、ぜひご覧になってみてください。
歯はこんな構造をしている
上記のように、歯は外側から内側に向かって『エナメル質』『象牙質(ぞうげしつ)』『歯髄(しずい:歯の神経のある部分)』という構造になっています。
一番外側にあるエナメル質は「人間の体の中で一番硬い部分」といわれており、外からの刺激から歯を守ってくれているのです。
しかし、その内側にある象牙質には外部の刺激を遮断する役目はありません。
また、歯ぐきに覆われている歯の部分は『セメント質』と呼ばれ、エナメル質がありません。
セメント質は薄くて柔らかい性質で、強く歯磨きをしているだけでも削れてしまうため注意しましょう。
そしてその内側に象牙質があるという構造になっています。
知覚過敏で歯がしみる仕組み
知覚過敏で歯がしみることには、象牙質が大きく関係しています。
象牙質には『象牙細管(ぞうげさいかん)』という細い管がたくさんあり、その管を通して歯の神経に刺激を伝えるのです。
そのため何らかの原因でエナメル質やセメント質が削られ、象牙質が露出した状態になると、神経に刺激が伝わり『しみる・痛い』といった症状を感じるようになってしまいます。
歯列矯正と知覚過敏の関係とは
矯正治療中に知覚過敏が起こりやすいのはなぜでしょうか。
この項では、その理由を3つご説明していきます。
①歯が移動することにより生じるもの
歯並びを整えるためには、歯を動かすために力をかける必要がありますが、その過程で歯ぐきが下がってしまうことがあります。
それにより歯の根元の部分が露出し、しみる症状が出ることがあるのです。
②IPR(アイピーアール:歯を少し削る処置)によるもの
歯をきれいに並べるためには、ある程度のスペースが必要です。
そのために歯を抜く場合もありますが、歯を削ってスペースを作るケースもあります。
『IPR』とは歯の左右の面を薄く削ることにより歯が並ぶようにする方法で、通常複数の歯に対して行います。
歯のエナメル質の部分を削ることになりますが、大きく削るわけではありません。
とはいえ、中には知覚過敏になってしまう場合もあるのです。
③歯磨きの力が強いために起こるもの
矯正中は虫歯になりやすいため、普段よりも歯磨きを頑張っておられる方が多くいらっしゃいます。
汚れを落とそうとつい力が入ってしまい、強い力で歯を磨いてしまうことも珍しくないのです。
歯磨きの力加減が強いと、歯や歯ぐきにかかる圧力も大きくなります。
その結果、歯や歯ぐきを傷つけてしまいエナメル質が削れてしまったり、歯ぐきが下がってしまう可能性もあるのです。
矯正治療中に知覚過敏が生じる原因としては、主に上記のようなものがあげられます。
他にも、ホワイトニングをした際や酸蝕歯、歯ぎしりや歯が欠けてしまった場合などにもしみる症状を感じやすいです。
知覚過敏は治せる?治療方法は?
知覚過敏の場合は「治す」というよりも「対症療法」をして症状をおさえるのが一般的な対応になります。
主な方法としては、以下のものがあげられます。
①知覚過敏用の薬剤を塗布する
知覚過敏の症状を緩和してくれる成分を含んだ『知覚過敏抑制剤』という薬剤を塗ることで、症状をおさえる方法です。
歯科医院のみで行う処置で、歯科医師などが行います。
痛みを和らげたり、露出した象牙細管を塞いで刺激を伝わりにくくする効果が期待できる薬剤を用います。
効果はずっと続くわけではなく、毎日の歯ブラシや歯ぎしりなどによって薄れてきてしまいます。繰り返し塗ることが必要です。
②プラスチックの詰め物をする
歯の根元の部分が削れてしまったことが原因であれば、その部分をプラスチックの材料で覆うことにより物理的に刺激を遮断します。
③歯磨きの力加減を確認する
もし歯磨きの圧力が強いことが原因であれば、正しい歯磨きの力加減を身につけなければなりません。
今まで通り磨いていると、症状が緩和されないばかりか、新たな知覚過敏を引き起こす原因にもなりかねないからです。
④歯の神経を取る
こちらはあくまでも最終手段で、積極的に行うことはありません。
なぜなら、できるだけ歯の神経は残しておいた方がいいからです。
⑤知覚過敏の方向けの歯磨き粉を使う
歯科医院で薬剤を塗布してもらうことに加えて、知覚過敏の方向けの歯磨き粉を併用することで、さらに症状を抑えられる可能性が高くなります。
《知覚過敏の抑制に効果が期待できる成分》
・硝酸カリウム
歯の神経に伝わる刺激を鈍化し、しみる症状や痛みを緩和してくれます。
・乳酸アルミニウム
象牙細管にフタをして刺激が伝わりにくくしてくれます。
・フッ化物
歯のエナメル質が薄くなっていることが原因の場合は、フッ化物の配合された歯磨き粉も有効です。
フッ化物には、歯の表面を修復する作用があります。
これらの成分が含まれた歯磨き粉を使い続けることで、知覚過敏を緩和する効果が期待できます。
ただし、知覚過敏抑制剤と同じで継続することが大切です。
おさまったからといって使うのをやめてしまうと、また症状が出てきてしまうため注意しましょう。
知覚過敏の方向けの歯磨き粉は市販でも販売されていますが、どれが良いのかわからない方は歯科医院で相談してみてくださいね。
このように矯正中に知覚過敏になってしまった時には、状況に合わせて様々な対応を行っていきます。
矯正中の知覚過敏についてもご相談ください
今回は、歯科矯正をすることで知覚過敏になることがある理由や仕組みなどについてお話しました。
飲食の度にしみる症状が続くというのは、なかなか煩わしいものですよね。
歯科医院での処置が効果的な場合もありますが、使用する歯磨き粉を変えるだけで痛みを抑制できることもあります。
難波矯正歯科では、歯列矯正をお考えの方にカウンセリングを行っております。
現在、既に知覚過敏がある方で矯正治療に不安を感じておられる方も気軽にご相談くださいね。
今は特に症状がない方も、もし治療中にしみる症状が出てしまった時には、どうぞ我慢なさらずにおっしゃっていただけたらと思います。
できるだけ症状を抑えながら矯正を進められるように、サポートいたしますのでご安心ください。
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