矯正治療とは、歯並びやかみ合わせをきれいに、きちっと咬み合うようにする歯科治療です。子供の場合は、将来のかみ合わせを見据えて、あごの成長を考えながら治療を進めます。大人は成長が終わっていて成長をコントロールできないので、あごのバランスを改善するためには、手術が必要なこともあります。 かみ合わせ、あごの骨や関節、一人一人違うお口の状態から理想的なかみ合わせを目指す治療が、矯正治療です。矯正の器具を使って、歯やあごの骨に力をかけ、ゆっくりと動かしていきます。ワイヤーやマウスピースを使った方法があります。 なぜ、かみ合わせを正しくする必要があるのか、かみ合わせがよくないとどうなるかをみていきましょう。
目次
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不正咬合の影響
歯並びやかみ合わせがよくない状態を不正咬合といいます。 不正咬合はお口や全身にも影響が出てきます。
むし歯になりやすい
歯並びがでこぼこで歯が重なっていたりすると、歯ブラシが届きにくく汚れがたまってしまいます。 唾液も行き届かなくなるのでむし歯になりやすくなり、プラーク(歯垢)が歯にくっついたままにしておくと、むし歯菌が歯を溶かしむし歯になってしまいます。
余談ですが、唾液はお口の中の清潔を保つ働きがあります。
①緩衝作用
食べ物や飲み物の酸やお口の中の細菌の酸によって、お口の中は酸性になります。すると、歯の表面が溶け(脱灰)、むし歯になります。 この酸性になったお口の中を、中和してくれるのが唾液の緩衝作用です。
②再石灰化
唾液は、歯のエナメル質からミネラルが溶けだした状態(脱灰)を、元に戻そうとしてくれます。 これを再石灰化といって、歯にミネラルを補充してくれます。
③自浄作用
むし歯菌は食べかすに集まってプラークをつくります。 唾液は食べかすやプラークを洗い流してくれます。
④抗菌作用
唾液には酵素が含まれていて、ばい菌に対して抗菌作用を発揮します。 お口の中にはたくさんのばい菌がいますが、増殖しないように抑えてくれます。
歯周病になりやすい
磨き残しがあると、プラークの細菌によって歯ぐきが腫れてしまいます。 さらに、歯ぐきの溝(歯周ポケット)に汚れがたまり続けると、歯の周りの骨が溶け、歯周病が進行してしまいます。 例えば、「歯ぐきから血が出る」、「口臭が気になる」、「歯がグラグラする」といった症状に気づいたときには、すでに歯周病が進行している場合があります。 また、かみ合わせがよくないと歯の周りにも力がかかるので、歯周病を悪化させる原因になってしまいます。 かみ合わせの力によって、歯の周りにダメージを与えることを、咬合性外傷といいます。 歯周病の治療において、歯磨きの状態をよくする(プラークコントロール)を徹底することと、かみ合わせを安定させることが大切です。
歯がダメージを受けやすい
咬んだときに強く当たる歯があった場合、その歯には大きな力がかかってしまいます。 歯が削れている方はかみ合わせが強いと考えられます。 毎日くり返し負担がかかると、歯にヒビが入ったり、歯が割れてしまうこともあります。 歯ぎしりや食いしばりがあると、リスクはより高くなります。 歯の根っこまで割れてしまった場合、抜歯になってしまうケースもあります。
あごに負担かかかりやすい
安定していない咬み方は、あごの関節(顎関節)に負担がかかります。 さらに、食いしばりや歯ぎしりをするとものすごく負担がかかります。 特に、夜寝ているときはご自身の体重何倍もの力がかかっていて、なんと200㎏以上ともいわれます。
実は、歯ぎしりといってもギリギリするタイプだけではありません。 歯ぎしりしてないわと言われる方でも、音のないタイプの歯ぎしりをしていることがあります。 歯ぎしり自体は悪くありませんが、かみ合わせがよくないと、あごに負担がかかってしまいます。 「あごが痛む」、「口があかない」、「あごを動かすと音がする」といった症状がある場合は、顎関節症が疑われます。 顎関節症は様々な原因が合わさって起こるとされています。 かみ合わせも誘因の一つですが、歯ぎしり、集中すると食いしばっている、頬杖などの癖、咬み方のバランス、あごの形、ストレスなど多くのことが原因として考えられます。
肩こりになりやすい
肩こりは、肩や首の筋肉の緊張によって起こると言われています。ものを咬むための下あごの筋肉はとても強くできています。 かみ合わせがよくないと、余計な緊張や筋肉の疲労を生み、あごの筋肉も緊張しっぱなしになってしまいます。 すると、あごとつながった首や肩の筋肉も緊張し、疲れてしまいます。 もし、なかなか肩こりが解消されない場合は、歯科で検診を受けてもよいかもしれません。